吹田市非常勤職員の雇い止め撤回裁判を支援する会が、2016年12月6日、高裁での逆転勝利をめざす決起集会を開催。会場は支援者でいっぱいになりました。
開会にあたり、よびかけ人を代表して挨拶に立った二宮厚美さん(神戸大学名誉教授、吹田自治都市研究所長)は「国会でも年金カットやカジノ法案の強行採決が行われたのをはじめ、今、全国的に横暴極まりない政治がすすめられている。吹田でも、非常勤職員の報酬が高額すぎるという主張が行われているように、この横暴極まりない勢力が公務員に不当な攻撃をかけている。雇用ではなく任用で、労働契約ではなく行政処分だから、一方的に雇い止めできるという。憲法を守らなければならない公共部門が、なぜこんなことをできるのか。こんなことを認めている日本の司法及び行政は時代錯誤も極まりない。戦前の官吏から戦後は公務員へと、そのあり方は変わったはずなのに、戦前からの「任用」という前時代の遺物が残っている。しかし、これは社会の発展法則に照らせば、必ず滅び去る。いま、保育士や介護職が圧倒的に人手不足となっており、首を切るどころか、なるべく同じ施設で長く働いてもらってスキルを高めてもらうことが求められている。ところが、20年以上も働いているスキルの高いベテラン職員の首を切るという今回の事件は、時代の流れにも逆行していることは明らかだ。反撃の大運動を起こそう」とよびかけました。
また、「大阪では新自由主義勢力が労働者の権利を脅かすとともに、行政サービスも後退させている。これに対する闘いは重要であり、二人に頑張ってほしい」(大阪市立大学教授チャールズ・ウェザースさん)、「なんと情けない判決であることか。最高裁判所どころか最低裁判所となっている。そんな裁判所を変えていくという、この裁判の意義は大きい」(関西勤労者教育協会副会長 中田進さん)、「民間の事件なら当然勝っていた裁判のはずが、「任用だから」と切り捨てた判決に本当に腹が立つ。これでは、公務職場の非正規は絶対に救済されない。労働契約法でも地方公務員法でも守られない。裁判所を社会的に包囲する運動が必要。二人だけの闘いではなく、吹田だけの闘いでもなく、全国的な大きな闘いにしていこう」(働き方ASU―NET 川西玲子さん)、「大阪労連も公務職場における争議をたくさん闘ってきた。民間でも、正規労働者の有期雇用の雇い止めが多くなっている。大阪地裁も高裁も本当にひどい判決を出している。官民力を合わせて闘いをすすめていく決意だ」(大阪労連議長 川辺和宏さん)、「5千万人を超える労働者のうち今や非正規労働者が2千万人を超える。安倍首相は「非正規という言葉をなくしていく」と言うが、財界は、終身雇用の労働者をなくしていこうとしている。とんでもない。今回の判決はきわめて政治的なものだ。「非正規だから首を切ってもよい」というのは労働者差別だ。これを労働組合は黙認してはならない。大阪自治労連も闘う」(大阪自治労連執行委員長 荒田功さん)、「この事件はあまりにも市民に知られていない。もっと市民に知らせていかなければならない」(吹田労連議長 明石巧一さん)と、それぞれご挨拶されました。
つづいて弁護団の河村学弁護士は、@労働者の生活を徹底して無視し、労働者の人生設計や生活設計が狂ってしまうこと、その責任を誰がとるのかという点について一言もふれていないこと。A任用のためには選考が必要だというが、これまで1年ごとに選考が行われてきたのかという点については明らかにされていないこと。B長期雇用は法の趣旨に反するというが、安い労働力を使い勝手よく使用しようとしたのは当局であり、法の趣旨に反するから雇い止めを有効とするのは「泥棒に追い銭」だ。と、判決の問題点を明らかにしました。
さらに、豊川義明弁護士は「法律の世界には「汚れた手で汚れたことをしてはならない」という法理がある。今回の事件においては、基幹的・恒常的な業務に非常勤職員を従事させてはならないという法の趣旨に反して、非常勤職員を従事させてきたのは吹田市であり、そのことは吹田市に責任があるのであって、当該非常勤職員には何ら落ち度はない。ところが、判決は、法の趣旨に反するのだから、雇用の更新を期待することはできないとして、吹田市の責任を認めない。また、法を厳格に適用するというなら、同じ地公法には平等原則も定められているが、正規職員は配置転換を行いながら、非常勤職員については配置転換を行わなかったことについて平等原則は適用されないのか、という問題もある。「このような判決でいいのですか」と問うような運動が大事である。」と話されました。
原告の二人も「他の人たちが簡単に首を切られないようにと控訴を決意した」(福田廣子さん)、「福祉の吹田をとりもどすために頑張る」(藤井雅子さん)と不当判決に屈せず闘う決意を表明しました。
ともに雇い止めと闘う仲間として、東京公務公共一般労組の中嶋祥子さん、関西単一労組阪大分会の石橋美香さんからも支援の訴えがありました。
閉会にあたって、市労連の坂田委員長は「非正規公務員の雇い止めは住民サービスを守るかどうかに関わるものであり、幅広い住民に支持される闘いである。この裁判闘争を通じて裁判所を変え、法改正にもつなげていきたい。引き続くご支援を」と呼びかけました。
お忙しい中にも関わらずお越しいただいた五十川市議、上垣市議、大阪自治労連及び貝塚市職労、岸和田市職労、枚方市職労、東大阪市職労、大阪市労組、大阪争議団共闘会議、サポートユニオンWITH YOUの仲間、吹田母親大会連絡会、新日本婦人の会吹田支部、吹田生活と健康を守る会、年金者組合吹田支部、さつき・くすのき後援会、国民救援会吹田支部など地域の仲間に感謝申し上げます。